ものづくり人材応援キャンペーン WAZACAN 長野技能五輪・アピリンピック公式マガジン

WAZACANインタビュー

ホーム > WAZACANインタビュー > 匠に聞く > 早澤正供

匠に聞く

早澤木型研究所
早澤正供(代表取締役社長)

この道50年。同じものはひとつもないから、難しくて、おもしろい

早澤正供氏が代表を務める早澤木型研究所は創業から100年。
一貫して「モノつくり」の原点と呼ばれる鋳造用の木型製作を進めてきた。
創立100年を迎え、現在では高度熟練技能者1名、1級木型技能士3名を擁し、長年培った匠の技と、CAD・CAMによる3次元での高い技術で、高精度な鋳造用木型製作を実現している。
長野県木型工業会の元会長であり、自身も高度熟練技能者である早澤正供さん。全国のマンホール木型も幅広く手がけ、長野オリンピックの記念マンホールの木型製作も担当した製作史を聞いた。


出発点が研究所であること

長年の経験と知識が必要となる鋳造用木型。この机から今日も匠の技術が生まれる

早澤木型研究所は1912年(大正元年)に、初代・早澤七四郎が長野工業高等学校木型専門教諭の傍ら、木型工養成所を市内中御所(岡田町)に創設。見習い工を養成したことに端を発する。

社名にある研究所という名称は創業者が木型の教諭であったことから、「研究」に重きを置いた出発点となっている。その思いは三代目である早澤氏にも引き継がれ、「やったことのない図面を見るとわくわくする」という。
根っからの研究肌、というか技術者肌なのだ。

そもそも鋳造用木型とは、車のエンジンや家電製品、各種機械部品といった全ての鋳造品に必ず必要となる木型のこと。よい製品には良い鋳物、良い型が必須であるが、近年の高齢化等による人手不足が深刻化している。

良い製品を生み出すためには長年の経験と知識が必要であり、いわば匠の集大成であるのが鋳造用木型ともいえる。
匠の精密な作業の延長線上に産業の基盤があり、快適な生活があると考えてもいいほどなのだ。


旅先で出会う自分の仕事

1998年長野オリンピックの記念マンホール。下は野沢温泉村の道を彩るマンホール

鋳造用木型製作技術の習得は最低でも10年かかり、そこからまた技術を磨き続ける。木型を基にした鋳造品は自動車部品や医療機器、マンホールの蓋など生活の至る所で見つけることができる。

特に早澤木型研究所では、1998年に開催された長野オリンピックの記念マンホールをはじめ、日本全国のマンホール金型を長年に渡り製作してきた。なかでも各自治体のマンホールに求められる繊細なデザインの実現は高度熟練技能者の腕の見せ所なのだそうだ。
長野県内では野沢温泉村の鳩車のマンホール木型も製作。野沢温泉村の旅情に一役買っている。

「横浜や長崎を旅した時に、ふと自分が木型を作ったマンホールと出会うこともあって、やはり『おおっ』と思いますね」とうれしそうに早澤さんは言った。


木型のおもしろさ

ひとつ完成したら、次は全く別の木型が待っている

「年を重ねるごとにこの仕事のおもしろさがわかってきた」と早澤さん。

「図面からも設計者や鋳造者の意図が読み取れてきて、『だったらこうだな』とか『こうあるべきだな』という自分の中での答えがある。それをいかに木型というリアルなものにトレースするか。その繰り返しです」

「木型という世界は鋳造屋さんから設計図が送られてきて、とにかくそれを<実現>するのが仕事なんです。だから、ひとつ完成したら、次は全く別の木型が待っている。求められることも、技法も毎回全然ちがう。同じものはひとつもないから、難しくて、おもしろい」
と、まるで面白い本を読み進めるように早澤さんは語る。


先端技術と熟練職人の融合

クライアントから支給された3次元CADデータから数値を読み取り、CADを設計後、マシニングセンターにて一括加工を行う

創業から100年たち、精密な鋳造用木型製作のためには、もはやCAD・CAMは必要不可欠な道具となった。早澤さんが若かりし頃に大型の水道管用木型をほぼ一か月がかりで手で削り出していた時代から考えると、マシニングセンターの登場は大きな進歩であったという。

そしてまた、この100年で得た長年の経験が、現代においても大きな価値を生み出していることを実感する日々だ。
豊富な経験値から図面を適切に把握し、木型・鋳造について熟知した専任オペレーターがクライアントが求める部品を3D化。マシニングセンターにて加工した後、必ず職人の手によってチェック・調整し、最終的な確認を徹底することで、お客の使いやすい鋳造用木型作りを追求している。

近年ではノミや鉋、鋸などはあまり使用されなくなってきたが、場合によってはシンプルな設計変更による木型改造などは、再度マシニングに乗せて加工するより手作業の修正の方が早い場合が多く、職人技が必要となる。
急ぎの試作品が必要な折など、やはり手の技、手の早さが必要となってくるのだ。

先端技術と熟練職人の融合で、高品質はもちろん、お客が満足する木型を実現することがこれからのなすべきことだと早澤さんは実感している。


社名 有限会社 早澤木型研究所
代表 早澤正供
設立 1912年
事業内容 鋳造用木型製作、アルミ型、試作型の製作
従業員 6名(高度熟練技能者1名、1級木型技能士3名)
資本金 450万円
住所 〒381-0025 長野市北長池1901-4
TEL 026-243-4851
FAX 026-243-5644
URL http://www1.ocn.ne.jp/~hayasawa/
メールアドレス hayasa88@ruby.ocn.ne.jp