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自分×世界

青木固研究所
山崎博隆(入社8年)

田圃にたなびく世界中の国旗

しなの鉄道「テクノさかき駅」から徒歩3分。
千曲川と田圃が広がる穏やかな景色の中、たなびく世界各国の国旗が見えたらそこが青木固研究所だ。
青木固研究所はプラスチック容器を作る機械メーカーとして世界中に出荷しており、ヨーロッパやアジア、北米、南米、中近東、アフリカといった世界中の人々が、打ち合わせや商談でこの地に集まるのだ。
そんな青木固研究所の技術部成形品設計課でボトルを設計している山崎さんに話を聞いた。


独自の技術で世界の容器を作る

青木固研究所のプラスチック容器製作には2つの大きな特徴がある。

①原料を再加熱しないこと
②成形前の温度調整を可能にしたこと

プラスチックボトルの製造過程では、まずプラスチック原材料を一旦溶かして、射出成形によりボトルの原型となる試験管状のプリフォームを成形する。そのプリフォームを機械的に縦方向に伸ばすとともに、圧縮空気を吹き込み横方向に瞬時に膨張(ブロー)させ、ボトルにかたち作る。 この二軸延伸ブロー成形方法により、透明性に優れ、軽く、高い強度を有するプラスチックボトルが成形されるのだ。
(風船を想像するとわかりやすい)

そんなプラスチック容器製造機器メーカーのなかで、青木固研究所独自の技術である「ダイレクトヒートコン成形システム」は革新的なシステムである。
プリフォーム成形と延伸ブロー成形において、プリフォームの再加熱工程を必要とせず、同時に一つの機械で行なうことができるワンステージシステムを採用しているのが大きな特徴なのだ。
これにより、容器成形に関わるエネルギーと時間を大幅に削減することができ、世界文化の向上に貢献し、地球環境に優しいボトルを提供している。

このAOKI独自の射出延伸ブロー成形技術が幅広く支持され、今や世界中でプラスチック容器がMADE IN AOKIで製造されている。

※ダイレクトヒートコン成形システムについてはこちら


世界中の容器を手がけるボトルデザイナー

写真:上中/クライアントのイメージを3次元CADで具現化し、2次元の設計図に落とし込む。写真:下/メキシコで使用されているマヨネーズボトル

そんな青木固研究所の成形品設計課で働く山崎さんが一年間で設計するプラスチック容器は100本をくだらない。
オーストラリアのワインボトルや蜂蜜ボトル、ヨーロッパの化粧品ボトル、メキシコのマヨネーズボトルやタイのマウスウオッシュ…と百花繚乱だ。
日本国内でも大手コンビニのウォーターボトルや製薬メーカーの消臭器ボトルなどを手がける。正に世界中の容器に対応するボトルデザイナーなのだ。

入社して8年。金型の設計を4年担当した後に、ボトルデザインを担当する成形品設計課へ移った。1年で100本は設計をするので、すでに400本以上はデザインを手がけたことになる。
クライアントの要望やイメージを3次元CADで具現化し、2次元の設計図に落とし込むまでが山崎さんの仕事だ。
難しさを訊ねてみると、「用途により容器に求められるスペックをいかに実現するかはもちろんですが、その製品が使われる国や文化、環境をふまえながらデザインに落とし込んでいく点ですね」という答えが帰ってきた。

マヨネーズを例にとれば、日本はほとんどが卓上チューブ型だが、海外では圧倒的にビン型が主流とのことである。大きいビンからスプーンですくえるマヨネーズを想定して、口を大きくしたり、残らずすくえるように底部の形状を考慮したりとさまざまな局面を想像しながらデザインをする。
ボトルを使う人や国、年齢、文化、環境、強度、生産性、コストなどなど。考えるべきことは山のようにある。
そこが難しく、面白い。

デザインが全てではない、でもデザインからも改善できる―。
その実感が山崎さんのモチベーションになっている。


クオリティと生産コスト。両極を思考すること

本社会議室には世界中のサンプルが集められている。デザインやラベルにもお国柄が出ていておもしろい

ボトルデザインというとビジュアルのみがイメージされるが、製品としてクライアントに使ってもらう以上、欠くことができない3つのポイントがある。

①トップロード(座屈強度。上部からの耐久力)
②バキューム(内部減圧に対する強度)
③落下強度(ある高さから落ちた場合の強度)

つまり、容器としてどれだけ強度があるかということが問われるのだが、それだけでは片手落ちとなる。
飲料やオイル、洗剤や化粧品が商品として売られる以上、クライアントが利益を得られるようにボトルを製造しなくてはならないからだ。つまり、下記の2つのポイントが重要となる

④サイクルタイム(定時間で何本生産できるか)
⑤容器重量(どれだけ軽く作れるか)

クオリティ(強度)と生産コスト。山崎さんが設計するボトルは正にこの両極が最重要課題であり、デザインは課題実現のための最初の一歩となる。

「容器は世界中で使われる道具です。軽量化や使いやすさ、生産コスト、リサイクル性などを追究することで、資源や時間、エネルギーの削減につながり、世界の人々の生活をより豊かにする一翼を担えると思っています。そして、それは地球環境にも繋がっていきますよね」

将来の目標について山崎さんはこう答えた。

人々の生活に根ざしているものを作っているからこそ、自分のがんばりが世界に反映される―。
その考え方にハッと気付かされた。
信州のこの場所からも、リアルに世界を向上させることができるのだ。この考え方の発見は、同じ信州人として勇気を与えてもらった気分だった。
取材の帰り道、見慣れたはずの千曲川と田圃の風景が、少し違って見えた。



社名 株式会社 青木固研究所
代表 青木茂人
設立 1976(昭和51)年3月
事業内容 射出延伸ブロー成形機の開発・販売
従業員 190名
資本金 2200万円
住所 〒389-0603 長野県埴科郡坂城町南条4963-3
TEL 0268-82-3015(代)
URL http://www.aokitech.co.jp/index.php